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ストーリー

 大正13年、人里離れた山奥の洋館で、一人の老人が殺された……。

 その老人の名は紫条院宗徳(しじょういんむねのり)。大財閥、紫条院財閥の長であり、この洋館の主である。

 宗徳の死体は、館の中央の階段の上で発見されたが、殺害現場は階段ではなく、館の部屋のうちのどこかからか運ばれた形跡があり、凶器や犯人も全く不明。そして、その時館に居あわせた紫条院隆典、白鳳院雛子、黄山忠助、水那祥子、赤井ハナ、グリーン牧師……6人の人物全員が容疑者となった。

 いったい誰が……?何処で……?何を凶器に殺害したのか?洋館を舞台に今、殺人事件の真相が明らかになる……。

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登場人物紹介

しじょういんたかのり
紫条院隆典

 宗徳の息子。先頃、宗徳が経営していた会社の後を継いで社長に就任したものの、会長の座に収まった宗徳に実権を握られたままであった。

 

はくほういんひなこ
白鳳院雛子

 宗徳の娘であり、隆典の妹。紫条院家と並ぶ名家である白鳳院家に嫁ぎ、悠々自適の生活を送っていたが、夫の事業が失敗し、多額の負債を抱える羽目になった。窮地を脱するため、宗徳に融資を願い出たが、宗徳は冷酷にもそれを見捨てた。

 

みずなしょうこ
水那祥子

 10歳の時に母を亡くして孤児となり、隆典の養女として紫条院家に引き取られてきた、露西亜人との混血の娘。戸籍上は隆典の娘であるが、実は宗徳と、かつて宗徳の愛人であった露西亜人の母親との間に生まれた娘である。
  祥子は母を捨てた宗徳を恨んでいるようだ。

 

あかい はな
赤井ハナ

 紫条院家のメイド。両親を亡くし、行き場の無かったハナを、宗徳が住み込みのメイドとして雇っている。
 しかし、一見恵まれているように思われるその立場も、宗徳の肉欲の奴隷として、自由と人間の尊厳を奪われることを前提に成り立っているにすぎない。彼女に救いの手をさしのべる人間は、いまだ現れない。

 

グリーン牧師

 亜米利加から来た牧師。クリスチャンである宗徳は敷地内に教会を作り、グリーン牧師はそこで働いている。宗徳はたびたび懺悔をするために教会を訪れていたが、噂では、その懺悔室は宗徳の男色趣味のために作られ、グリーン牧師はその相手をつとめているという。人々はその場所を背徳の懺悔室と呼び、近づこうとはしない。

 

きやまただすけ
黄山忠助

 紫条院の屋敷近くにある警察署に勤務する警官。まじめな警官であったが、宗徳に弱みを握られ、言われるがままに、宗徳が犯した数々の不正を誤魔化す手助けをさせられている。

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