三日目(2004/11/8)

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起床 - 6:00

 寝ていると、Sがテントの外で呼んでいる。外に出ると既に夜は明けかかっていて、まだ薄暗い森の向こうに何か動くモノがいる。よく目をこらすと、大きな動物のようだ。「あぶない!」と、Sが叫ぶと、その動物……巨大な熊が、素早い動きで我々に近付き、鋭い爪を振り上げた!「ギャーーーッ!!!」……というところで目が覚めました(実話)。
 
と、いきなり漫画のような夢オチ体験から、この日は始まった。つくづくテントでの睡眠には慣れが必要だな、と思った。まぁ、キャンプ地自体がこれらの写真のような場所だったわけで、こんな変な夢を見てもしかたがない気はする。

 ただ、昨日と比べるとかなり暖かく、昨日は朝露でビショビショだったテントも今日はまったく濡れていなかった。夜寝ていてもまったく寒くなかったので、標高が下がったせいか、気候が良かったのか、それほどキャンプに悪い夜ではなかった。
 朝食は昨日に引き続き「乾飯」。ただし今回は途中で買った梅をオマケで入れた。美味いもんではないが、御飯のみより多少はマシ。

散歩 - 7:50〜

 せっかくなので、原生林の中を散歩。台風のせいか、木や竹が倒れてほとんど通れないような道があったが、なんとかかきわけて進み、沢まで辿りついた。水は綺麗だったが上流にホテルがあるので一応飲むのは遠慮しておいた。
 この他にも竹林や、酸っぱそうなミカンなどを見つつ、散歩を終了。いかにも森の朝、という時間を堪能した。

山中城跡 - 9:00

 昨日、薄暗くてほとんど見る事が出来なかった山中城跡を見学する。かなり広く、見応えがある。「城跡」のため、城そのものは残っていないのだが、面白い形をした畝など、見どころは多い。

 しばらく見学し、休憩所でカロリーメイトをかじっていると、ポツポツと雨が降り出した。急いで用意しておいた雨合羽の上着を取り出して着る。あまりひどい雨にならないといいのだが……。

 ちなみに下の写真は、山中城跡から見た景色の解説写真と、実際この時に撮影した写真。残念ながら富士山は見えていないが、比較してみると面白いかもしれない。

旧街道を進む - 10:30

 山中城跡を後にして、旧街道を進む。途中で団子と水分を補給。さすがに今日は三島に到着する事は間違いないペースだが、思い起こせば初日の目標地点がその三島だった。今にして思うと無謀な計画だが、実際に歩かなければわからない事が多かったので仕方がないだろう。
 途中で天気が回復してきたので、雨合羽を脱いだ。

雨宿り - 11:26

 11時半頃、また雨が振り出した。しばらく木の下で雨宿りをするも、あまり弱まる気配がない。しかたがないので再び雨具を取り出して着る。

町を歩く - 11:50

 このあたりまでくると、道は自然の道ではなく、舗装された道が多くなる。道路の向こうでは柿が鈴生りで、秋を感じた。道の傍らの六地蔵や、転んだらはるか下まで転がっていきそうな坂道を楽しみながら進む。
 ただ、10kg近い(Sはその倍近い)荷物が、そろそろどうしょうもなく負担になってきていて、数mの移動もツラくなる(普通に歩くぶんには問題ないが、ちょっと関係ないところを見学してから戻ってくる、といったような事が精神的には出来ない状態になっていた)。
 いつのまにか雨が上がり、また雨合羽を脱いだ。脱いだり着たり、忙しい。

箱根旧街道松並木 - 13:16

 途中、我々と同じく箱根湯本から歩いてきたという初老の男性二人組に出会ったりしつつ、箱根旧街道松並木に至る。ここまで来れば三島はあと少しだが、重い荷物とここ数日の疲れから、あまり景色を楽しむ余裕が無くなってきた。爪先は下り坂を下りるたびに痛むし、ちょっとの段差でも右ヒザが痛む。歩く速度もどんどん落ちてくるのがわかる。

 しばらく歩いていると東海道線らしき線路にぶつかる。ここまでくれば目的地の三嶋大社はもうすぐだ。自然に歩く速度が上がるが、微妙に距離があり、また速度が落ちる。なんだかもうヘロヘロだ。

三嶋大社 - 13:57

 ついに目的地である三嶋大社に到着!一日で箱根湯本からここまで歩き、その後下田街道を南下する、というのが当初の計画だったのだが、とてもじゃないが無理だと判断し、自分はここをゴールとした。無事に旅を終えられた事を感謝して、久々に観光気分で土産などを購入し、境内で売っていた「さくらソフト(さくらが入ったソフトクリーム)」を食べた。さくらもちのような味のするソフトクリームは、疲れた体にしみた。

〜箱根旧街道の旅終了〜

 こうして、短くも充実した旅が終わった。友人のSは、当初の予定どおり下田街道を南下していったが、さすがにそれについていく体力も精神力も自分には残されていなかった。痛む足を引き摺りながら、少しでも早く家に辿りつこうと、新幹線の切符を買って、ホームで一休みする。

 駅のアナウンスや、走る電車が、なんだか別世界のモノのように思える。文明を忘れてしまうほど長い旅をしてきたわけではないのだが、それだけ普段の生活とは異なった次元の旅だったという事だろう。
 新幹線に揺られて家路につく。あと数時間で全てが日常に戻るのだろう。さらば箱根旧街道。今度はあんまり重くない荷物を持って遊びにくるよ……。

〜完〜

◆今回の旅で得た教訓◆

  • 荷物が軽ければ箱根湯本から芦ノ湖までは一日あれば余裕で歩ける
  • 荷物が軽ければ芦ノ湖から三島までは一日あれば余裕で歩ける

結論→荷物は軽くしましょう